井上名誉院長の変形性股関節症のお話

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RAO手術とキアリ手術はどのようにちがうのでしょうか?

RAO(寛骨臼回転骨切り術)もキアリ手術(骨盤横断骨切り術)も、ともに変形性股関節症に対する関節温存手術(自骨手術)で、ともに高度な技術を必要とします。
しかし効果を発揮する対象が異なります。
 RAO:関節症変化が前・初期で、臼蓋形成不全がそれほどひどくない例で、大腿骨頭が円形である例に特に有効です。新に形成された臼蓋の表面には硝子軟骨(正常の関節軟骨)が存在することが大きな利点です。

 キアリ手術:RAOでは対応できない進行期、末期例に有効です。
新に形成される臼蓋の表面は骨組織そのものですが骨頭との間に介在する関節包が軟骨(線維軟骨)に変化します。

キアリ手術で救済できる変形股関節症の条件は?

 1)年齢:60歳まで適応はあるが、50歳を過ぎると成績は低下する
 2)病期:進行期、末期でも適応あり
 3)X線像:
   a.臼蓋形成不全はその程度が高度な方が好成績が得られる。
   b.骨頭は円形 であるより扁平化しているほうが好成績が得られる。
 4)可動範囲:内・外転は問題にしないが屈曲・伸展は60°以上ある方がよい。
 5)治療期間:身辺自立は術後2~3日で可能だが荷重歩行は術後2ヶ月、松葉杖がはずせるのは術後4~5ヶ月後

両方に適応があるときどうすればいいか

  • もしRAOでよい結果が得られそうだ、と判断されたならキアリ手術よりRAOを選んだ方がいい。
  • RAOに適応があるような形状の股関節(円形骨頭)に対するキアリ手術の成績は、扁平骨頭に対するものより劣ります。

実際の症例を紹介します。

RAOが効果的なのは前・初期の症例です。

  • 29歳 女性 術前 前関節症期

  • RAO手術

  • 術後9年 正常の関節形態を示す。

キアリ手術は進行・末期例に有効です。

  • 53歳 女性 術前 進行期関節症

  • 外反骨切り術 併用キアリ手術

  • 術後7年 除痛に成功

病期以外に両手術の選択条件はあるか?

二ノ宮は臼蓋の形状について、次に示す二つのタイプはRAOの手術では好成績が得られない、とした。

とくにⅣ型はRAOの適応はない(二ノ宮)

キアリ手術
二ノ宮のⅢ&Ⅳ型に対する対策

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